コンクリート打継部止水板の止水性には施工品質が大きく影響します

記事のポイント

  • 止水板の施工品質がいかに重要か
  • 施工品質を確保するための3ステップ
  • メーカーに要求される対応

コンクリート打継部止水板は、各メーカーにより様々な素材や形状の製品が販売されています。素材について大きく分けると、ゴム系と塩ビ系とベントナイト系になります。さらにゴム系でだけ考えても、水膨張ゴムと粘着ゴム、および通常ゴム(非膨張非粘着)と分けられます。

多種多様な止水板がそれぞれの止水機能を持って市場で販売されていますが、実際の現場においては、その止水機能が完璧に働くことは極めて稀です。なぜなら、止水試験のように状況が十分整えられていれば機能するものでも、実際の現場では不確定要素が数多く存在するため完璧な施工が極めて難しく、施工品質がどうしても劣ってしまうからです。

いち止水板メーカーとしては言いづらい事ですが、弊社製品も他社メーカーの製品も、実際の使用においてはそれぞれの製品の違いというより、施工品質の差がより大きく止水性に影響を与えるというのが実際のところです。止水板の機能を発揮させるには、それだけ施工品質が重要となります。そこで施工品質を確保するための注意点を、3ステップに分けて述べさせていただきます。


1ステップ 施工前の止水板選択および施工タイミングの調整

そもそも論になりますが、現場状況によっては、選択した止水板では施工がそもそも不可能というような事態も起こり得ます。外付けタイプや後付け(据置)タイプ、差込タイプの施工箇所を事前に把握し、実際の施工箇所と止水板が合っているかを確認して下さい。特に垂直部は止水板を選びますので注意が必要です。また施工タイミングによっては、施工作業が出来なくなるという事態も起こります。鉄筋との兼ね合いで差込タイプが施工できなくなったり、後付けタイプを施工する前に型枠が組まれてしまうなどのトラブルです。基本的に止水板の施工は、鉄筋を組み終えてしまったタイミングだと非常に手間がかかりますので、なるべく鉄筋を組み始める前の施工をお勧めします。

2ステップ 施工時の施工調整

図面に落とし込んだ計画から施工に移行した際に、予期せぬ施工調整を求められることが実際の現場では多々あります。そのような時は、止水性を確保しながら実現可能な施工方法を模索する判断力が求められますが、現実は止水板に精通する作業員の方が非常に少ないため、その判断を誤ってしまう事が得てしてあります。止水板の性能確保には、図面からはわからない実際の現場での調整力・判断力が必要です。

3ステップ 施工後の点検補修

多くの職種があり多くの作業員の方が日々働かれている建設現場の現実としては、仮に施工時に止水板の施工品質を確保できたとしても、施工後のトラブルによりその品質が低下する事は多々あります。実際には、品質低下はまず起こる、と考えておかれるのが妥当かと思います。止水板に対する作業員の方の踏み込みや、コンクリート打設時のコン天ラインのズレ、打設の衝撃による止水板の傾き等々、原因は非常に多岐にわたります。そのため、そのような品質低下を点検補修することが必要となります。


止水板メーカーの立場としては、上にあげた3ステップ全てにおいて、メーカーの知見を十分に活かしていただきたいと思います。弊社含めメーカー各社は、様々な知見を蓄積していますので、それぞれのタイミングで適時お問合せいただく事をお勧めします。弊社としてもお問合せに即時的確にお答えできるよう努めていきます。どうぞお気軽にお問い合わせください。よろしくお願いします。

 

弊社各製品は下記アドレスよりご確認いただけます。https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html

 

止水性能ナンバー1 「板状タイプ非加硫ブチルゴム止水板」 でも施工が難しい・・・

記事のポイント

  • 板状+非加硫ブチルゴムによる高い止水性
  • 板状タイプは施工が難しい
  • 施工性の向上が止水性確保の要

各種コンクリート打継部止水板で、最も止水性が高いとされているのが板状タイプの非加硫ブチルゴム止水板です。弊社製品でいうと「リステンプレート」がそれに該当します。

同じ板状タイプの塩ビ系や、非粘着のゴム系のように水道(みずみち)を板物で遮るだけでなく、粘着性の非加硫ブチルゴムがコンクリートに強力に接着していくため止水性がさらに向上します。

 

板状タイプ止水板の止水効果(水道を遮る)+非加硫ブチルゴムの接着力=止水性能ナンバー1

 

しかし板状タイプ止水板は全体的に施工が難しいため、リステンプレートにおいても施工不良によりその止水効果が期待できない事が多いのも事実です。特に多いトラブルとして、差し込み時に下の鉄筋が邪魔をして差し込めない、ジョイント部が外れてしまう、などがあります。

これらのトラブルを解消し、板状タイプ非加硫ブチルゴム止水板の強力な止水性能を発揮していただくためにお勧めしたいのが「リステンプレート結束線付」です。結束線が付くことで、差し込み位置に合わせて予め止水板を設置しておけるので、差し込み作業が不要です。そのため、コンクリート打設時に止水板が浮かないよう打設量の調整ができたり、鉄筋が邪魔をする箇所はリステンプレートを半分程度カットすることで鉄筋をリステンプレートに通しておくことが出来ます。(※カットして鉄筋を通した箇所はリステンボンドUS-3000で補修してください。)

また、差し込み時に大きく動くことで起こるジョイント部の外れも予防できます。

 

施工イメージを簡単なイラストにした動画です。よろしければ参考にして下さい。

また、板状タイプ止水板は施工タイミングによって施工性が相当に異なってきますので、その点はご注意ください。鉄筋がなるべく少ない時に施工できるよう調整をお願いします。

弊社各製品は下記アドレスよりご確認いただけます。https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html

コンクリート打継部止水板 ―ベントナイト編― メリット・デメリット

メリット

  • 細かい空間にまで入り込んでの止水が可能
  • 放射性物質などの有害物質のシールド効果

デメリット

  • 高水圧に弱い

天然鉱物であるベントナイトは、水を吸収してゲル状に膨潤する性質があります。ベントナイトの結晶間に水を取り込む形で吸収するため、ベントナイト内を流れようとする水流を急減させる機能があり、その機能により止水効果を発揮します。また、ゲル状となって広がるため、他の止水板素材では充填できない微細空間へも入り込める特徴があります。

止水効果とは別に、ベントナイトは有害物質のシールド効果が認められている素材でもあります。例えば放射性物質の貯蔵施設などでは、ベントナイトが止水材および放射性物質のシールド材として使われています。放射性物質が結晶間を通る際に、陽イオン交換が起こることでベントナイトが放射性物質を強く吸着し、放射性物質の流出を防ぎます。

放射性物質の貯蔵施設で使われるなど、高いシールド効果を認められているベントナイトですが、もちろんデメリット(欠陥?)も存在します。それは「水圧に弱い」という、地下部の止水材としては特に重大な欠陥とも言えるデメリットです。ベントナイトは水を吸収してゲル状となって広がりつつ空間を埋めることで止水性を発揮しますが、地下部のような高い水圧を受けると、ゲル化したベントナイトが押し流されてしまう事があります。つまり漏水が起こりやすい状態となります。

結論として、これはあくまでも弊社見解ではありますが、ベントナイトは水圧に強い他の素材の補助材として、他の素材では埋められないような微細空間充填材として使うのが良いと考えます。弊社止水板のリステンシールB(※写真)はそのような視点から生まれた止水板です。

弊社各製品は下記アドレスよりご確認いただけます。https://www.risuten.com/product/uchitsugibu/index.html


追記

ベントナイト止水材「リステン粘土」の記事はコチラ